けれど、先輩は完全に翔くんを無視して、ぎゅっとわたしの首に腕を回す。 み、みんな見てるのにっ…… 「せ、先輩っ……ここ、教室ですっ……!」 「知ってる」 なら、離してくださいっ……! 「嫌がることばっかりしてたら、杏ちゃんに嫌われますよ?」 後ろにいる翔くんも、呆れた顔をしている。 それでも先輩は、頑なに無視を決め通しているらしい。 翔くんの言葉に、反応すらしていない様子。 な、なんだか申し訳なくなってきた……。