【完】愛は溺死レベル




「もしもし?」


『あっ……悠牙?』



……気安く俺の名前を呼ばないでほしい。

俺の名前を呼んで良い女は、杏だけなんだから。


後々は名前で呼んでくれるようになるだろうか……と考えるだけで、だらしない顔になってしまう。

杏に「悠牙」なんて呼ばれたら、それだけで理性が切れる自信がある。


『ねえ、さっきの話だけど、彼女にしてくれるっていうのは……』


「なあ、俺最初に言ったよな?」


『えっ……』


「演技に付き合ってほしいって。お前に頼んだのはそれだけ。勘違いすんなとも言った。悪いけど、俺可愛い彼女いるし、もう話しかけてこないで」



お前の役目はそれだけ。