【完】愛は溺死レベル

【side 悠牙】



杏の家で夕ご飯をごちそうになって、俺は杏の家を後にした。

その帰り道。車に揺られながら、今日の出来事を振り返る。



……杏が、俺の恋人になった。

その事実を考えるだけで、全身の血が逆流するみたいだった。



この世の幸福をすべて手にいれたような気にさえなって、頬の緩みを抑えられない。



「やばい……幸せすぎる……」



そんな独り言を零して、息を吐いたとき、スマホが鳴る。

電話の主はさっき生徒会室で頼み事をした女で、今度は溜め息を吐き出した。