『杏ちゃん……大きくなったら迎えにいくからね』

『ほ、ほんとに……?』

『うん。俺のこと、待ってて』



「どうして、言ってくれなかったんですか……っ」



お母さんの一言でご飯を食べていってもらうことになり、夕飯までわたしの部屋にいることになった。


先輩はわたしを見つめて、にやりと笑う。



「だって、杏が俺のこと忘れてたから」


「わ、忘れてた訳じゃ……」

「嘘だ。全然気づかなかったでしょ。俺のお嫁さんになるって約束したくせに」



そ、そんな約束、したっけっ……?

先輩は、不貞腐れたようにわたしに背を向けた。