何度しても慣れなくて、呼吸が苦しくなってきたわたしは、先輩の胸を叩いた。
ようやく解放されて、ぷはっ……と息を吸い込む。
急に、どうしてっ……
「は、離してっていったのにっ……」
「杏が煽ったんでしょ?無自覚って、ほんとタチ悪いな」
む、無自覚……?
なんのこと言ってるの、先輩……?
首を傾げた時、車が停車した。
いつの間にか家についていたらしく、運転手さんに感謝の言葉を伝えて車を降りる。
「送ってくださって、ありがとうございました……!また、明日」
「待って。今日さ、杏のお母さん家にいる?」
……お母さん?