「あいつ杏への気持ちだだ漏れじゃん。杏だって警戒心薄いし、俺がどれだけイラついたか……」
本当に腹立たしそうにそう言った先輩は、わたしの頬をつまんだ。
い、痛くはないけど、怒ってるなぁ……。
先輩も、ヤキモチとか、妬いてくれてたんだ……。
不謹慎だけど嬉しくて、頬が緩んでしまう。
「で、でも、翔くんにはちゃんと断りましたよ……」
一応弁明しようと、そう言ったのだけれど、どうやら火に油を注いでしまったらしい。
先輩が、きれいな顔を歪めた。
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