【完】愛は溺死レベル




真剣な表情でわたしを見つめる赤い瞳から、目を逸らせなくなる。

せん、ぱい……?


ゆっくりと、先輩の手が伸びてきた。

その手が、そっと包み込むように、わたしの頬に触れる。



「……ごめんね。俺が悪かった」



ほんとうに申し訳なさそうな表情をして、わたしを見つめる先輩。



「杏がいつまでたっても俺を好きって認めないから、ちょっと意地悪した」



……え?



「俺がこんなに好きって伝えてるのに、頑に付き合ってないって言うし、他の男と仲良さげにしてるし……杏の気持ち、確かめたかった」