【完】愛は溺死レベル




「あんなの嘘に決まってるでしょ?あの女が可愛いなんて思うわけないじゃん。俺は杏しか可愛いって思わない」



そう言って、わたしの頭を優しくなでた先輩。

絆されてしまいそうになって、慌てて視線を逸らした。

優しく、しないでっ……。



「……っ、もう、ほんとにやめてっ……!からかわないでください……」


「からかってないよ」


「もう、嫌い……先輩なんて大嫌いですっ……わたしなんか放って、早く彼女さんのところに「杏!」



わたしの言葉を遮るように、先輩が大きな声を出した。


……っ。