「あんなの嘘に決まってるでしょ?あの女が可愛いなんて思うわけないじゃん。俺は杏しか可愛いって思わない」 そう言って、わたしの頭を優しくなでた先輩。 絆されてしまいそうになって、慌てて視線を逸らした。 優しく、しないでっ……。 「……っ、もう、ほんとにやめてっ……!からかわないでください……」 「からかってないよ」 「もう、嫌い……先輩なんて大嫌いですっ……わたしなんか放って、早く彼女さんのところに「杏!」 わたしの言葉を遮るように、先輩が大きな声を出した。 ……っ。