あんな光景を見せられて、わたしになにを信じろって言うの……?
「こら、どこ行くの?」
逃げようとしたら、腕を掴まれた。
もういい加減、離してほしい。
先輩と話すことなんて……ないっ……。
「きょう、しつ……戻りますっ……」
「ダメに決まってんだろ。こーんな可愛い杏、俺以外に見せるわけない」
「先輩にそんなこと言われる筋合いないですっ……私たち、もう恋人でもなんでも……」
「何言ってんの?さっきから言ってんだろ。俺は杏を愛してる。杏は俺の彼女なの」
先輩の、声のトーンがあからさまに下がった。
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