【完】愛は溺死レベル




もう、これ以上惑わさないでっ……。


精一杯の力を振り絞って、先輩の身体を押した。

それが抵抗になったのかはわからないけど、先輩はようやくキスを止めてくれる。


「先輩…酷いですっ……彼女いるのに、キスなんてしないでくださいっ……」



わたしはさっきのキスを忘れるように、唇をごしごしと擦った。




「なに言ってんの、俺の彼女は杏でしょ」


ーーえ?

何言ってるの、先輩……。



「う、そ……先輩、さっきの人と、付き合うって言いました……!私のことなんて好きじゃないくせにっ……」



抱きしめようとしてくる先輩の身体をはね除けて、抵抗する。