「何言いに来たのか、正直に言えば離してあげる」 息を飲むほど美しい顔が至近距離にきて、思わず視線を逸らした。 先輩は、酷い……ほんと、悪魔みたい……っ。 「言ってくれなきゃわからないから、言って」 「やだ、言わないっ……」 「言わねーとずっとこのままだけど、いいの?」 「も、もう、忘れるからいいんです……っ」 「なにを?」 「……先輩の、ことっ……」 ……あっ……。 口が滑りそうになって、とっさに言葉を飲み込んだ。 「忘れるって、俺のこと好きだから?」 ……っ。