ジリジリとわたしに近づいてくる翔くんに合わせて、一歩ずつ後ろに下がる。 けれど追い詰められてしまったようで、背中が壁に当たった。 翔くんはわたしを壁に押し付けるように手をついて、にこりと笑う。 「覚悟しててね、杏ちゃん」 え、ええっ……! どうすればいいかわからず、わたしは翔くんからフイッと視線を逸らした。 い、いつもは優しいのに、なんだか今日の翔くん、強引だよ……っ。 「〜っ」 「そんな困った顔しないで、今は大人しく身を引くから」 言葉通り、手を離してくれた翔くんに、ホッとする。