「僕だったら、絶対に杏ちゃんのこと、泣かせたりしない」 翔、くん……。 わたしを抱きしめる腕に、力が込められている。 翔くんの気持ちを嬉しいと思う反面、胸が苦しかった。 「……ごめんっ……ごめん、なさい……っ」 応えられなくて、ごめんね翔くんっ……。 「どうしても、僕じゃダメ?」 苦しそうな声色でそう囁いて、じっとわたしを見つめてくる翔くん。 わたしはその瞳を見つめながら、こくりと頷いた。 もう、誤魔化せない……。 わたしは……先輩が、好き。