【完】愛は溺死レベル




翔くんの言葉の意味がわからなくて、首を傾げる。


確かに、翔くんとは入学してからすぐに仲良くなって、ずっと一緒にいたけど……そういうことじゃ、ない、みたいな言い方……。


今まで見たことのない翔くんの真剣な表情に、息を飲む。



「翔くん……?」

「とられてから、後悔したくないから、僕もちゃんと伝えようと思ってたんだ」



後悔……?



「なんのこと……?」

「うん。あのね、杏ちゃん」



翔くんは私の名前を呼んで、こちらへ歩み寄ってきた。

私の目の前で距離を詰めて立ち止まった翔くんは、逸らすことなく瞳をじっと見つめてくる。

綺麗な唇がゆっくりと開かれるのを、私はまるでスローモーションのように眺めていた。



「僕ね、杏ちゃんのことが好きなんだ」





ーーーえ?