【完】愛は溺死レベル



たくさんの視線に耐え切れなくなって、俯いてしまう。


と、とりあえず、この場から抜け出そう!



そう思って、一歩後ずさる。


けれど、もうこの時の私は遅かったのだ。




「……決ーめた」




心なしか、先程よりも低い会長さんの声が通る。


え?


顔を上げると、会長さんは私の顎を綺麗な指で持ち上げて、静かに見つめてきた。



ーーーーーあ。



この、感覚。

私は知ってる。




入学式の時、一瞬会長さんと目があった気がした。


その時と、同じ感覚……。


瞳で、囚われる。



会長さんはそのまま、私の顔に自分の顔を近づけて来た。


15センチ、10センチ、5センチ……と、会長さんとの距離が近付いていることに、この時の私はぼーっとしていて気づかなくて……



気付いたのはーーー



「次の彼女、君にする」



ーーー会長さんとの距離が、0センチになった時。