【完】愛は溺死レベル


私の後を追って来てくれたのだろうか。少し荒れた呼吸の翔くんに、私は慌てて涙を拭いた。



「ご、ごめんね……!心配してくれてありがとうっ!……教室、戻ろっか?」



こんな情けないところ、これ以上翔くんに見られたくないな……。

笑顔を作って翔くんの方を見れば、何故か目の前の顔が歪められた。


翔くんは、何故か苦しそうな表情で、わたしを見つめてくる。



「杏ちゃんさ……やっぱり、あの会長のこと好きなの?」



ーー……え?



「ど、うして……?」



翔くん、この前もそんなこと……聞いてきたよね?



「どうしてって……うん、そうだよね。気づいてないよね」

「……?」

「僕、ずっと杏ちゃんのこと見てたから」



……ずっと、見てた……?

わたし、を?