先輩がいないと寂しいとか、無視されて悲しいとか……自分勝手、すぎる……。
こんな私、愛想つかされて当然だ……。
昼休みだからか、人影の少ない4階の廊下。その端に繋がる非常階段へと出て、私は両手で顔を覆った。
ポロポロとこぼれ出す涙が、溢れて止まらない。
「せん、ぱい……」
勝手につぶやいたその名前は、誰にも届くことなく風に消されるはずだったのに……
「……杏ちゃん」
背後から聞こえた声に、私は驚いて振り返った。
「翔、くん……」
どうして、ここに……っ。
「杏ちゃんの様子がおかしかったから、心配で……」

