【完】愛は溺死レベル



「……っ、だから、彼女じゃないですってば……!」



そんなこと、先輩に言われる筋合いはありませんっ……!

わたしの返事に、先輩は眉を顰めた。


先程よりも不機嫌オーラが濃くなった先輩が、目を細めてわたしを見つめてくる。



「まだそんなこと言う?聞き分け悪いな……」



き、聞き分け悪いって……言われても……



「ふ、不可抗力で……だってわたし、先輩のこと好きじゃないですもん……」



何度もそう……言ってるじゃないですか……。


重たい沈黙が、わたしたちの間に流れた。

黙り込んだ先輩がなんだか怖くて、顔が上げられない。



「……あっそ」



心底どうでもいいような、そんな言い方の声が、吐き捨てるように投げられた。