生徒会室に近づくにつれ、廊下を歩く生徒が減っていき、既に辺りにはわたししかいなかった。
「杏ちゃん!」
……と、思っていたのに……この声は、翔くん?
振り返ると、やっぱり翔くんの姿があった。
「翔くん……!どうしたの?」
心なしか、緊張した面立ちで、こちらに歩み寄ってくる翔くん。
……?
「あの、さ……」
一度黙り込んだ翔くんは、ごくりと息を飲んで、意を消したように顔を上げた。
「聞きたい、ことがあって……」
「聞きたいこと?」
「……杏ちゃんは、本当に会長と……付き合ってないんだよね?」
「えっ……」
ま、またその話っ……?

