「なっ……!だから、三宅ほんとやめてって……!」
「一途だし真面目だし、優良物件だと思うんだけどね〜。告白する勇気が湧かないのかしら〜」
……優良物件?
告白?
「あ、杏ちゃん!なにもないから気にしないで!み、三宅、ほら!早く宿題終わらせなよ……!」
「あ!忘れてた!ちょっともういいわ!翔っちノート貸して!写す!」
「……はいはい」
あ、そうだ、わたしも勉強しなきゃっ……!
時計を見ると、チャイムが鳴るまであと十五分。
わたしはシャーペンを握りしめ、教科書と睨めっこした。
よーし、集中集中……!
「……告白、か……」
勉強モードに入り、完全に集中していたわたしの耳には……翔君のそんな呟きは、届かなかった。