【完】愛は溺死レベル

【side 悠牙】




「……っ、ふっ、ぅっ」



うら悲しいバラードをBGMに、エンドロールが流れる。

もう画面も見る余裕がないのか、俺の膝の上にいる杏は、必死に涙を拭っていた。


……はぁ、可愛い……。



「こら、そんなに擦ったら、目腫れるだろ」



よいっしょ……っと。

杏の身体を抱き上げて、向き合う体勢にさせた。

相変わらず、軽すぎ……。


俺よりもふた回り以上小さい手を掴んで、擦るのを止める。

そしてゆっくりと、傷つけないように、杏の涙を優しく拭った。



「そんなに感動したの?」



何度も首を縦に振って、肯定を表す杏に、胸が変な音を鳴らしていた。

あー、くっそ可愛いな。