うぅ、折角のチャンスが……。
肩を落としていると、背後からポンっと頭を撫でられる。
振り返れば、クラスメイトの翔(しょう)君の姿。
「何してんの?杏ちゃん」
しょ、翔君!
翔君は、優しくて頭も良くて運動も出来て……まさに王子様みたいな人。
会長さんが王子様という通り名を既に物にしている為、翔君にはその名が付くことはなかったけれど、
会長さんがいなかったら、間違いなくその名は翔君の物だったに違いない。
眩しい翔君の笑顔に、口の端を下げる。
「恋の誕生を……見たいんだけど見えなくて」
「恋の誕生?何言ってるの杏ちゃん」
可笑しそうに笑う翔君に、むっと唇を尖らせた。
ど、どうして笑うの?
「あー、面白い。本当そういう天然なところも可愛い」
「て、天然?か、可愛いって、翔君目が可笑しいの?」
私にそんなことを言うだなんて……大変!
眼科に行かなきゃ……末期だよ!

