狂った父を止められなかった。
だから、飽きるまで殴られて
いつしか逃げることも泣くことも
痛いことが当たり前になっていた。
「 それでも父親か? 」
「 人殺しを殺して何が悪い!? 」
「 ・・・ぁあ? 」
────────人殺し。
「 てめぇ、酔ってんだろ 」
”狂ってる”。
彼はそう吐き捨てると
あたしの体を抱き上げて
ゆっくりと歩き出した。
「 連れて行くな! 」
足早にその場を離れる彼に
父は追い付けず崩れるように
倒れ込むと地面に頭を打ち付け始めた。
──────────・・狂ってる。