山田さん的非日常生活

ガタァッと立ち上がると、すぐにあたしの隣に駆けつけるカボ。あたしよりも先に、あたしの手を握る。


カボの顔が、至近距離に迫る。


びっくりして、息をするのも忘れる。

思わずギュッと目をつむった。



「………?」



指先にかかる、生温かい風。

ゆっくりと目を開けてみる。


「………」


…一体、何を思ったのだろう。カボが、あたしの指に向かってフーフーと一生懸命息を吹きかけていた。

まるでラーメンを冷ましている時みたいだ。でもあれってあんま意味ないよね、フーフーしたって麺の一部分だけが若干冷めるだけで、すすり上げる麺全体は結局熱いままだし…

…って、そうじゃなくて。


「…何してんの」

「だって早く冷やさないとっ!!」


…普通、ヤケドって水道水とかで冷やすものだと思うんですけど。

しかも疲れてきたのか知らないけど、だんだんフーフー、がヒッヒッフーになってきてるよカボ。

…それ、妊婦さんがやるラマーズ法呼吸だよ。


息を吹き続けるカボの必死さに、なんだかおかしくなってきてしまった。

カボのそばにいると、嬉しくなったり、イライラしたり、呆れさせられたり、笑わされたり、ドキドキしたり。ホントいちいち忙しい。

なんだかんだで、いっつもあたしがカボに振り回されるんだ。

…でもその忙しさは。あたし、嫌いじゃない。


思わずフッと笑みをこぼすと、不思議そうにあたしの顔を見上げるカボ。


間近で、目が合った。


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