山田さん的非日常生活

ツボから立ち上る熱気で、カボの顔がほんのり蒸気して赤くなっている。

まるでお酒を飲んだ時みたいだ。あたしはまだ高校生だから、お正月の甘酒しか飲んだことないけど。


「カボんちはしたことあるの?チーズフォンデュ」

「ありますよ!あとチョコレートフォンデュもこの前しました。母がしたいって言うので、父が一式買ってきて」

「ああ、キットみたいなの売ってるよね。小さめのせとものの鍋、みたいな?」


あたしが身振り手振りで大きさを表すと、またまたカボは不思議そうな顔をした。


「…?父が買ってきたのは、タワーでしたよ?」

「…………」


…タワー、て。


もしかしてホテルのバイキングとかにある、チョコレートがザーッて流れ続けるヤツですか。ちょっとしかつけないっつーのに、無駄にザーザー流れるヤツですか。


…この金持ちめ!!


あたしの恨めしそうに睨みつける視線に全く気づかないカボは、「ああ!そうだ!!」と何かを思い出したようにそう言った。


「そう言えばさっき携帯見たんですけど、母が山田さんにメール送ったって」

「ええっ!!うそ!?」


そういや、今朝から電源切りっぱなしだったよ。過密スケジュールのせいで携帯の存在なんてすっかり忘れていた。

ズリズリとカバンの元に歩み寄り、携帯を引っ張り出す。

電源を入れた途端に、待っていたかのようにメールを受信した携帯が震えだした。



"受信メール 23通"


「………」


こんな数字、誕生日の時でも見たことないよ。っていうか去年の誕生日は三通くらいしか来なかったよ。そのうち一通はおじいちゃんからだよ。


…クラスのみんな、一体どんだけ暇なんだ。


渋々受信ボックスを開いてみると、一番上にカボのお母さまからのメールがあった。


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