山田さん的非日常生活

「あの…カボ?助けてくれたのはありがたいんだけど…そろそろのいてくれない、かな?」

「すみません山田さん…安心しすぎて、腰抜けちゃったみたいです…」

「………」


声を失ったあたしの代わりに、上機嫌な姫子がヒヒーン!と鳴く。

…最後の最後までキメられないところは、やっぱりカボだ。

無駄に男前で、やけに運動もできて、何から何まで揃っているくせに、なぜか最後には必ずオチがついてくる。ある意味才能なのかもしれない。


肩にずっしりとした重みを感じながら、女将さんに困ったような視線を送る。

女将さんは何でしょう?といった風ににっこりと首を傾げた。


「すいません、降りたいんでちょっと押さえててもらってていいですか?」

「無理です、馬アレルギーなので!」


…乗馬をおすすめプランに入れた張本人が馬アレルギーでどうするんですか。っていうか初めて聞いたよ、馬アレルギー。


「それは大変ですね!女将さん!!」


…そしてお前は何の疑問も抱かないのか、カボ。大変なのは腰抜けてるあんたの方だよ。てか、乗った馬に暴走されて死にそうな目にあって、現在ずっと重たい頭乗っけられてたまま降りれないでいるあたしが一番大変だよ。


姫子の茶色い背中に乗っかりながら、ため息をつく。


どうかせめてもの救いに、料理長があたしたちの昼食を作っていてくれますようにと願った。












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