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「山田さん、さっきから携帯が鳴ってますけど…見なくて大丈夫ですか?」
「全く見なくていいから」
隣で運転しながら、心配そうにあたしとあたしの携帯の間で目線を往復させるカボ。
もう何回目かわからないメールの着信音が鳴ったところで、あたしは迷うことなく電源を切った。
週末の土曜日。
…そう、どうこうしているヒマもなく、あっという間に来てしまった旅行の初日だ。
ちなみにさっきから絶え間なく来ているメールは、全部が全部クラスメートからのものである。
それもこれも、足立の野郎が
「山田、土日に彼氏と初旅行なんだって★」
…とか、みんなに吹聴したせいだ。みんな、あたしに彼氏ができたという事実がよっぽど面白くて仕方ないらしい。
そして団結力あるクラスメートたちは、みんな揃って、現在進行形であたしに応援メールを送りつけてくれている、というワケである。
"山田!旅行先で置き去りにされんなよ★"
"少ない色気を絞り切れ!山田!"
"大人の階段のーぼる〜、君はまだシンデレラさ♪"
…嫌がらせの他の、何物でもない。
電源を落として、やっと静かになった車内。
機嫌のいいときのカボのクセ、なんの歌なのかわからない鼻歌が隣から聞こえる。
「…ずいぶん上機嫌だね、カボ」
あたしがそう呟くと、カボはにっこり微笑んではい!と頷いた。
「だって、2日間山田さんとずっと一緒にいれるんです」
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「山田さん、さっきから携帯が鳴ってますけど…見なくて大丈夫ですか?」
「全く見なくていいから」
隣で運転しながら、心配そうにあたしとあたしの携帯の間で目線を往復させるカボ。
もう何回目かわからないメールの着信音が鳴ったところで、あたしは迷うことなく電源を切った。
週末の土曜日。
…そう、どうこうしているヒマもなく、あっという間に来てしまった旅行の初日だ。
ちなみにさっきから絶え間なく来ているメールは、全部が全部クラスメートからのものである。
それもこれも、足立の野郎が
「山田、土日に彼氏と初旅行なんだって★」
…とか、みんなに吹聴したせいだ。みんな、あたしに彼氏ができたという事実がよっぽど面白くて仕方ないらしい。
そして団結力あるクラスメートたちは、みんな揃って、現在進行形であたしに応援メールを送りつけてくれている、というワケである。
"山田!旅行先で置き去りにされんなよ★"
"少ない色気を絞り切れ!山田!"
"大人の階段のーぼる〜、君はまだシンデレラさ♪"
…嫌がらせの他の、何物でもない。
電源を落として、やっと静かになった車内。
機嫌のいいときのカボのクセ、なんの歌なのかわからない鼻歌が隣から聞こえる。
「…ずいぶん上機嫌だね、カボ」
あたしがそう呟くと、カボはにっこり微笑んではい!と頷いた。
「だって、2日間山田さんとずっと一緒にいれるんです」
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