山田さん的非日常生活

しぃん、と静まり返るリビング。

言ってしまってから、ものすごい勢いで顔に熱が上っていくのがわかる。
…あたしが火山なら、噴火三秒前ってなぐらいだ。


今更だけど、あたしはを友達にすら、カボを好きだなんて話したことがなかった。

それなのにあたしってば今さっき、家族の面前で公開告白してしまったようなもの。


ナイフを右手に、フォークを左手にもったまま、恥ずかしすぎて顔が上げられない。


鉄板の上の肉とにらめっこしていると、山田さん、とカボがあたしの名を呼んだ。


「山田さん」

「……はい」

「今、コンビニからアイスを買ってきたとします」



「………は?」



…卵を割ったらスライムが出てきた、そんな光景を目の当たりにした気分だ。

今日1日で何回「は?」って言わされただろう。数えておけばよかった。開いた口が塞がらない。カボと、カボの一家といればいるほど噛筋が麻痺してしまいそうだ。


「それで、五分足らずで家について、そのフタを開けます」

「………」

「そしたらちょうどその周りが柔らかくとろけてるんですよね」

「………」


ああそうですね。カップアイスって周りから溶けていきますもんね。

っていうかさっきの話、ちゃんと聞いてましたか。あたしがせっかく…せっかく、身を切る思いで口に出したのに。

知ってますか。人間は心臓の拍動数が決まってるって。その拍動数に達したら死んじゃうんだって。さっきのドキドキ分を、縮んだ寿命を返せ。カボチャ野郎。


「そのとろけた部分を、めいっぱいスプーンにすくって口に入れた…今、そんな気分です」

「……何が?」

「だからつまり、」


カボの笑顔は、爆弾並みの威力だ。

だって投下された今この瞬間、あたしのど真ん中で破裂したから。


「すっごく幸せで、嬉しいってことです」


.