山田さん的非日常生活

熱が上る。

顔が赤くなるのがわかる。


…なにいきなり強気に出てんのよ。

…なんでそんな余裕な顔なのよ。

…なんでそんな涼しい顔で笑ってんのよ。

カボのくせに。


カボのくせにカボのくせに。


悔しい、悔しい。ムカつく。

いっつも一枚上手なのはカボで、あたしだけアタフタしてるんだ。


「…降りて」

「え?」

「車の外っ!降りて!!」


2月の寒い風があたしたちの肌をさらうように撫でていく。

撫でるよりはもっと雑で、突き刺さるよりはもう少し優しい。

…やられっぱなしじゃ昭和勝りの女がすたる。


あたしも助手席から降りて運転席の側に回ると、不思議そうな顔をしているカボの手を強引にひいた。








来年も、再来年も。

そのまたずっと先も作るよ。


ほろ苦くて、でもたっぷり甘い、ガトーショコラを。





「…山田さん、反則です……」


ぷしゅう、と空気が抜けたようにしぼんでしまったカボ。

夜の闇の中でも、顔が真っ赤なのがわかる。


ああ、なんか。カボが照れるポイントがちょっとわかってきた気がする。

自分からするのは平然としてるのに、相手からこられるのは駄目なんだ。


…だって背伸びをしてキスなんて、女の子の永遠の憧れでしょ?


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