山田さん的非日常生活

あたしが一人悩んでいたこの数日間は、いったいなんだったんだ。

本気で、本気で悩んだのに。

カボが留学だなんて、めちゃくちゃショックだったのに。

悩んで悩んで悩みすぎて、天敵の梢さんにまで相談したのに…


…って。


赤い絨毯に突き刺さるかのような、高いヒールの靴。

そこから上へと伸びるスラッとした足に続く、整いすぎた取っつきにくい顔。


「…相変わらずひどい顔ね、山田」


自他共に認める絶世の美女、梢さんがあたしの目の前に立っていた。

そう言えば梢さんも、お父さま方と一緒に入って来てたんだった。


…ということは。


「…もしかして梢さんも嘘だって知ってたの!?」

「はい?当たり前でしょ!!浩一郎さんがアメリカに行くって知ってたらシケたコンビニで平然とバイトなんてしてらんないわよ」

「ええ!?でも相談のってくれたのに──」

「ああ!あの時は笑いそうだったわよ。アンタがあんまりにも死にそうな顔してるから」


…ハイ。あたしが馬鹿でした。

ちょっとでも梢さんはいい人かもとか思ったあたしが迂闊でした。


「しかもその台本作ったの、あたしだし」

「………」



…この人でなしサディスト女め!!



ホッとしたら力が抜けて、あたしまで床にへたりこんでしまった。

カボと二人、一緒に絨毯の上に座り込む。

そしてなぜかキッチリと体操座りのカボ。目が合うと、カボはふわりとあたしに笑いかけた。


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