山田さん的非日常生活

まるで流れ作業のように、どんどん人が呼ばれては減っていく。

あたしともう一人、最後に残っていたお姉さんが係の人に呼ばれて出て行った。


一人っきりになってしまった控え室。


鏡張りになっている一面の壁が、あたしの全身を映す。


切りっぱなしになった髪。

飾らない服装。

化粧っ気のない顔。


それはまさしく、高校生の幼いあたし。


大人っぽさなんてこれっぽっちもない。

さっき見た二人には程遠い、いつも不安で、一喜一憂して、穏やかな安定なんて知らない子どもだ。


こんなあたしが、ウェディングドレスを着て写真撮影?


…そんなの、まるで遊びのオママゴトみたいだ。


今のあたしは、本当は不安のカタマリなのに。

カボを信じてるって上辺ではそうやって自分に言い聞かせて、中身は全然追いつけてない。

こんなんじゃ、背伸びすらできない。


不安と切なさが耐え難い重みを持って、あたしの中で膨らむ。

今まで抑えてきたもの。


一気にはじけて、濁流となってあたしを襲った。


「……っ、」



ふいに、涙がこみ上げる。


どうしてこんなに感傷的になるんだろう。

涙腺がおかしくなっちゃったのかな。

でも、涙が止まらない。

鏡の中のあたしも、ボロボロ情けない顔で泣いている。



…カボ。



嫌だよ。本当は嫌だよ。

二年も離れたくなんてないよ。


しょうがないってわかったように自分に言い聞かせるけど、本当はちっともわかってなんてないんだよ。

大人なふりなんてできないし、保証なんてどこにもないんだよ。


写真を撮る一瞬だけでもカボの隣で花嫁さんができるなんて夢みたいで、


でもホントに夢物語になってしまいそうで、怖い。


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