ショーが終わっても、会場の雰囲気は冷めやらぬ様子だった。
みんな興奮した面持ちで、自分のパートナーに話しかけている。
終わってから気がついたけれど、座席についているお客さんはみんなあたしよりずっと年上のようだった。
これから結婚を控えている、近い未来の花嫁さんたちなのかもしれない。
「みなさん、今日はありがとうございました!!」
主催者らしき男の人が前に出て、あたしたちに笑いかける。
黒光りするスーツに撫でつけられた髪。
それだけ聞くと高級なホテルマンだが、顔が強面なせいか一歩間違えば仁義を重んじる職業に就いていそうだ。
「これから、ショーのドレスを用いて写真撮影会を行いたいと思っております!!有名なデザイナーのドレスですが、本日来て下さった皆様にだけご試着していただけます!!」
その言葉が発された途端、会場内がまるでコンサートでのアイドルの登場場面のように湧いた。
「どうぞ、女性の方はこちらへ!!」
「え、あ…ちょっ」
女の人は我先にと立ち上がり、指示される方へと向かう。
あたしはその勢いに流され、カボの顔を見る暇もなく違う部屋に通されてしまった。
…ドレス試着なんて聞いてないよ。
辺りを見回したけど、誰も辞退する人は居なさそうだ。
それどころかみんなキャアキャアと嬉しそうに騒いで、目をキラキラ光らせている。
仕方なくすごすごと列の最後尾に並んだけど、明らかにあたしだけ浮いてる。
パーティー仕様のミニドレスや華やかなスーツ、足元はヒールと揃った中。
スニーカーとジーンズの格好は、どう見ても悪目立ちでしかない。
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