山田さん的非日常生活

入り口を飾る扉がゆっくりと開く。

そこから入場してきたのは、純白の衣装に包まれた女性だった。


…ウェディングドレスだ。


間近に迫る光景に息を呑む。

ふわりと、まるで羽のように女性の体を取り巻くレース。

シルクの生地が控えめで上品な輝きを見せる。

足を隠す長さの丈は、流れるように赤い絨毯へと続いている。


あちらこちらで漏れる感嘆のため息。

席についた女の人たちはみんな、うっとりした目でモデルさんを見つめている。

次々と入場してくるモデルさんたちはみんなそれぞれデザインの違うドレスを着ている。

シンプルなもの、華やかなもの、個性的なもの。

その度にデザイナーらしき人が前で説明していたけれど、全く耳に入らなかった。


初めて間近で見るウェディングドレス。

…こんなに綺麗なものなんだ。


モデルさんが回転する度に、ドレスにあしらわれた石がキラキラと光る。

結婚式なんてきっとまだまだ先だし、ドレスなんて別に興味ないと思ってた。

でもこうして実際に見てみると、やっぱり将来は着てみたいなぁって思う。


「綺麗…」


思わず口から言葉が滑り落ちる。

ドレスに見入っているあたしの耳に、カボが唇を寄せた。


「山田さんもきっと似合うんでしょうね」

「んー…あんなモデルさんにははるかに劣ると思うけど…」


あたしたちのすぐ隣をミニスカートのウェディングドレスを着た女性が歩いていく。

モデルさんは可愛いけど、さすがにあんな個性的なのは着れないなぁ。

もし将来着るならもっとシンプルで、胸元がそんなにあいてなくて……、あ。


「あれとかいいかも……!!」
「あれとかいいですね!!」


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