「む…無理…もう無理…」
「え〜っ、まだちょっとしかしてないのに!!」
子どもたちのブーイングを背に早くも戦線離脱。
少し本気で走ってみただけなのに、膝がガクガクする。
このまま続けていたら多分あたしは五体満足じゃなくなってしまう。
…結局まともに参加できたのは5分ちょっとだった。
高校生のくせに今からこんなんじゃ将来が心配だ。
シートに倒れ込むように座ったあたしに、男の子たちの一人が叫ぶ。
「おばちゃんそんなんじゃこつそしょーしょーになっちゃうよ!!」
…こつそしょーしょーって。
もしかして骨粗鬆症のことですか。たしかに若いうちからカルシウムの摂取と適度な運動をしとかないといけないらしいけど。
息を整えて、カボと子どもがボールを追いかけるのを見つめる。
キラキラした瞳に、心から楽しそうな笑顔。
カボの長い足に器用に操られるボールは、長年連れ添ってきた妻のようだ。
金色の髪が太陽に輝く。
キラキラ、キラキラ。
そばにあるバスケットからひとつおにぎりを取り出して、口に運ぶ。
優しい手作りの味のあと、ふわりとした甘さがやってくる。
「…カボチャだ……」
かじられたおにぎりがのぞかせていたのは、色鮮やかな黄色のカボチャ。
選んだおにぎりの具は、どうやらカボチャの煮物だったらしい。
.



