山田さん的非日常生活

…うあぁぁあ。

口から心臓出そうだ。心臓どころか胃とか肺とかも全部出そう。

人生における大胆な行動ベスト3に入るかもしんない。


カチンコチンに固まりながら、恐る恐るカボを見上げる。

カボはぐるりと首を回して、あたしとは別の方向を向いていた。


「……カボ?」

「〜す、ストップ!!」


…覗き込もうとしたら、ストップをかけられてしまった。

それでも見えた。

染まった耳。


繋がっていない方の手で口元を押さえたカボの顔は、真っ赤だった。


「────」


…なに。そんなの、こっちまでさらに緊張しちゃうじゃんか。

あたしたち二人、姿勢を正して硬直したまま銅像のように立ち尽くす。


…やっぱりカボの照れるポイントってわかんないよ。

自分からは顔色一つ変えずに繋いでくるくせに。


ロボットみたいにカチコチな不自然な動きになったカボをとりあえず引っ張っていき、前来た時と同じ木の下にシートを広げる。

風で飛ばないようにシートの角に重しをのせて、カボと二人、シートの真ん中に座った。

さっきまで犬を散歩していたおじさんが、走り出した犬に引きずられているのが見える。


「えと、カボ……」

「おっ!おにぎりでも食べましょうか山田さんっ!!」


目線を合わせないまま、カボは大きなカゴのバスケットをシートの上に置いた。


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