さすがは真冬というべきか。原っぱに人の姿はまばらだった。
ビニールシートを広げる家族連れの姿は無く、見当たるのは犬を連れて散歩をするおじさんと一組のカップルくらい。
…マフラーでも巻いてこればよかった。
首もとをすり抜ける風に、肩をすくめる。
「大丈夫ですか?山田さん」
それに気づいたのか、カボが自分の巻いていたマフラーをあたしに掛けてくれた。
グレーとブラックの、グラデーションのマフラー。
肌に触れるその生地は柔らかくて、上質なものだということがすぐわかる。
「いいよいいよっ!?カボが寒くなるし!!」
慌てて外そうとしたら、カボがあたしの手を止めてギュッと握った。
「受け取ってくれないなら…代わりに僕が巻きつきますよ?」
「ぜひとも受け取らせていただきます」
大人しくカボのマフラーを首に巻きつけ、口元をうずめた。
…カボの匂いがする。
安心して、でもドキドキして。男の子なんだなぁっていう匂い。
首もとを攻められないとわかったのか、冷たい北風がコートからはみ出た指先をくすぐる。
「わー…なんか懐かしいですね、山田さん!!」
はしゃいで笑うカボ。
すぐ隣にある、触れそうで触れないカボの手。
「あのへんにシート敷き──、」
触れた、あたたかい温度。
…初めてあたしから、カボの手を握った。
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