山田さん的非日常生活

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バレンタイン当日は晴れていた。

雲一つない青空に、輝く太陽。


「ピクニック日和ですね、山田さん!」


うちの近くまで車で迎えにきてくれたカボは、その太陽に負けない満面の笑みをあたしに向けた。


少し久しぶりのデートだ。なんだか照れ臭くって、なんだか嬉しくて。

…でも少し複雑で。

あたしもカボに倣って笑みを返す。

今日はいっぱい笑おう。今日は、悩んでたことも忘れていよう。


いい天気…とはいっても真冬だ。寒いことには変わりない。

助手席に乗り込むと、暖房のきいた暖かな車内があたしを迎えた。


「ピクニック…おにぎりは作ってきてないけどね」


昔、まだ付き合ってなかった頃に、カボとピクニックに行ったことがある。

その時にピクニックと言えばおにぎりです!と力説され、山田さんの手作りが食べたいです!…みたいなことを言われた気がする。


懐かしいなぁ…。

あの時は疑心暗鬼で、カボの気持ちもわからなくて。

こんな風にカボが当たり前に隣にいるなんて、想像もつかなかった。


「大丈夫です!!僕が作ってきましたから」

「…へ?」

「おにぎり!…ということで、今日の行き先はまずピクニックです」


そう言うやいなや、カボはハンドルを切って車を発進させる。


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