山田さん的非日常生活

全く同じ環境で生きてきて、同じものが好きで、自分と同じモノを持ってる。

好きってそういうことじゃない。必ずしもそういう人を好きになるとは限らない。


…カボだから。


いい家に生まれて、幼い頃は海外に住んでて、なのにニコニコマートなんかにほぼ毎日通っちゃって。そうやってカボが生きてきたからこそ、今のカボがあるから。

あたしとは違いすぎる世界で生きてきたカボが、あたしの好きな今のカボなんだから。


…ああ、なんだ。

そんな簡単なことなんだ。


梢さんの言葉に、心にはびこっていたものがスッと流れて溶けていく。


「…しっかりしなさいよ、山田」

「………」

「あたしみたいな完璧な女になびかないくらい、浩一郎さんはアンタにゾッコンなんだから」

「…梢さん……」

「…だから、信じて待っときなさいよ。浩一郎さんが、話してくれるまで」


それだけ言い終わると、梢さんはいきなりすくっと立ち上がった。

スキニージーンズに包まれた細い足が目の前で伸ばされる。


「…あーあ!!あんたのせいですっかりいい人キャラよっ!!どうしてくれんのよっ!?」


…どうしてくれって言われても。


笑いそうになって唇を歪めたら、梢さんに思いっきり頭をはたかれた。




カボが話してくれるのを待つよ。


そして話してくれた時には、ちゃんと受け止められるように。














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