「なるほどね…」
バイト後の駐車場の隅。
車をストップさせるための石段に腰掛け、頬杖をつく梢さん。
その前でしゃがんだあたしは、手をすり合わせて小さく縮こまっていた。
…てか、寒いんですけど。
2月の真っ只中っていう真冬に外で縮こまってるなんて風邪をひきにきたようなもんだ。
梢さんの手にはあったかそうなホットのミルクココア。そしてあたしの手には、凍えそうに冷たいペットボトルのアクエリアス。
梢さんがニッコリ、
「このあと山田さんとガールズトークするんですっ!!でもバイト後だから梢、喉が渇くなぁ…」
と最強スマイルで店長に言ったら、店長がお客さんまでも押しのける勢いでレジに向かい、あたしたちに差し入れてくれたものだ。
…いやでもこのチョイス、ちょっとした嫌がらせじゃないですか?
あたし、店長に嫌われるようなことした覚えないんですけど…。
半ば無理やり聞き出されたのだが、カボの留学のことを梢さんに話してしまった。
誰にも相談できなかったから、あたしは誰かに聞いてもらいたかったのかもしれない。
「…梢さん、驚かないの?」
カボの留学のことを聞いても、梢さんはいたって冷静だ。
あたしなんて聞いた時、息をするのも忘れたくらいだったのに。
梢さんはあたしの顔をじっと見つめて一言。
「だって知ってたもん」
「ふーん……って、はぁ!?」
「…あのねぇ。言っとくけどアタシ東山家に仕えてるんだから。当然いつかはそういう日が来るってわかってたわよ」
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