山田さん的非日常生活

梢さんは、ことあるごとにあたしに度の過ぎたちょっかいをかけてくる。

ちょっかいなんてかわいらしいもんじゃない、ただの嫌がらせだ。


銀杏、干物、はにわ、座敷わらし…


今までにつけられた変なあだ名は並べるとキリがない。

いつもそれにキー!!となって反抗してしまうあたし。


でも今日は、もう言い返す元気も無かった。


肩を落として去っていくあたしを、不思議そうな顔で見る梢さん。


「おい、マリモ」

「……はい」

「………なんかあったわけ?」

「…べつに……」


…結局昨日、カボにメールを返すこともできなかった。

一人でウジウジするのはもう止めようって決めたのに、またこうして悩んでる自分。

本当に嫌になる。


無気力ながらもなんとかやるべき仕事はこなしていると、あっという間に外も暗くなる。

明らかに梢さん狙いの男の子たちがレジに並んでは、一生懸命梢さんに話しかけていた。


ふと時計を見ると、ちょうど午後10時。


同時に鳴り響くお客様入店のチャイム。


「浩一郎さんっ!!」


まさに黄色い声、といった梢さんのウットリした声と共に入店してきたのは…カボだった。


…ひいぃっ!!


慌ててレジの下にしゃがみ込む。

カボが来るかもしれないってこと、すっかり忘れてた。


どうしよう。どうしよう。


今は、会いたくない。


「こんばんは、梢さん」

「浩一郎さんっ!!かぼちゃプリンならちゃんと残ってますよ!!」

「あっ、ありがとうございます!…あと梢さん、山田さんはいらっしゃいますか?」


.