「いくら東山家を継ぐためには行かなきゃいけない決まりだったとしても…二年間も離れるのはさすがに、ね…」
「………」
状況が飲み込めない。
東山家の決まり?一体何の話だ。
え、ちょっと待って待って、整理しよう。カボはあたしのあげたカボチャのストラップと一時間じゃれついてて…って、それはどうでもよくて!!
ちょっとどうでもよくないけどとりあえずどうでもよくって!!
「でも大丈夫よ、山田さん!!私たちがこうやって今続いてるんだから!」
「あ…あの…」
「山田さんと浩一郎さんだって絶対乗り切れるわよ!!遠距離って言ったって、たかが同じ地球の上なんだから!!」
「いや、だから…あの…」
満面の笑みで、励ますようにあたしの肩をつかむお母さま。
パフェはいつの間にか、邪魔とでもいうように机のはしに寄せられている。
「今じゃ月にだって行けるし、月の土地だって買える時代なんだから!!」
「…えと、留学…って…なんのお話、ですか…?」
「あ……え?」
あたしを揺さぶるお母さまの手が止まる。
ポカンとしたお母さまの表情は、次第にしまったとでも言うような慌てた表情へと変わった。
「山田さん…もしかして…聞いてなかった?」
聞いてないもなにも、全く知らない。
カボからはなんにも、留学のりの字も教えてもらってない。
知らないよ。
あたしは放心状態になってしまって。
その後もお母さまが何か言ってくれてたけど、その言葉は全く耳に入ってこなかった。
…カボ。
留学って、どういうこと?
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