そうだ、バレンタイン。
「お母さまは、バレンタインにマカロン作られるんですか?」
首を傾けてパフェの向こうをのぞき込む。
「そうねぇ〜…そのつもりだったんだけど、もっと大きなものの方がいいかしら?」
「大きなもの…ケーキとか?」
「でもケーキはもう大方の種類あげちゃったのよね。フォンダンショコラでしょ、スフレケーキ、ロールケーキ…」
…見事にあたしが難しそうって読み飛ばしたやつばっかりなんですけど。
お母さまは料理…とくにお菓子が抜群にうまい。
送ってくれる写メもいっつもおいしそうだし。
あたしは一体どんな代物が生まれるのか、レンジを開けるのが怖いくらいだっていうのに。
「でもいい加減ネタもつきるわよね…付き合ってた頃から毎年ずっと、だもの」
毎年、ずっと。
お母さまはソフトクリームからポッキーを引き抜くと、嬉しそうに口に入れる。
そっか。お二人にもお付き合いっていう時代があったんだよね。
そう思ったら、俄然興味がわいてきてしまった。
「…お父さまとは、いつからお付き合いしてらっしゃったんですか?」
「山田さんと一緒よ。あたしが高校生のとき」
「えっ!!」
「出会ったのは…あたしがね、バイトしてた和菓子屋さんなの」
懐かしそうに目を細めると、お母さまはお父さまとの馴れ初めを話してくれた。
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