山田さん的非日常生活


二階のカフェは社員が休憩に利用しているらしい。

そのせいかドリンクメニューがとても充実しているようだ。

コーヒーの種類が多い。豆の名前が並ぶ中でひときわ目立つのが、一つ3000円もするパフェ。


「あっ!!来たわよ、山田さん!!」


机に運ばれてきたパフェを見て、お母さまは目を輝かせた。

金魚鉢の大きいのみたいな器にたっぷり詰め込まれたフルーツと、アイス。

上にささってるソフトクリームには、さらにポッキーがグサッとさしてある。

マシュマロみたいなのが上に何個か、サイコロ型のチーズケーキが…ああ、なんかもう説明するのめんどくさい。


「お…おまたせ、いたしました…」


…店員さん、重すぎるのか息切れしてるんですけど。

ドカッと机に置かれたパフェは大きすぎて、向かいに座るお母さまが見えなくなった。


「山田さん!プリン先に食べてもいい!?山田さんも好きなの取っていいから!!」

「あ…どうぞ…」


パフェの向こうからものすごく楽しそうなお母さまの声が聞こえる。


彼氏のお母さんと2人っきりで食事のシチュエーションって…普通は緊張感とか、ピリピリした感じとかがあるんじゃないだろうか。

何だろうこの、「親戚の子預かってます」な気分は…。


スプーンで控え目にアイスをすくうと、口に入れる。

冷たくて心地よい甘味が、渇いたのどに染み込んだ。


ふと我に返る。

あたしは一体、こんなところで何してるんだろう。

たしか数時間前までは、普通に学校の教室にいて、普通の女子高生っぽくバレンタインのお菓子について悩んでいた気がするんですけど。


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