「ほんとに回転してるし…」
たどり着いた最上階の社長室の前。
なんせ22階だ。窓から見える景色は圧巻で、まるごと街を一望できる。
高所恐怖症の人だったら、こんなとこで働けないんじゃないかな。
…っていうか、自分の部屋のドア回転させる人とか今まで聞いたことないよ。普通デパートの入り口くらいでしか使わないよ。
だいたい不便じゃないのか?カギ閉められないから不用心だし、密封されないから暖房とか効かないだろうし。
あ、なんか悪寒が…。
またもや身構えるお母さまを背後に感じ、はぁ、と肩を落としたその時。
ぐるぐると回転を続ける扉の向こうから、スーツ姿の男の人が現れた。
「山田さん!!」
「…え?」
だ…だれだ?
声をかけられたけど、たじろいでしまった。
撫でつけられた髪に、ビシッと着こなされたスーツ。
威厳と気品の漂う装い。
その人がニカッと笑って初めて、あたしはそれが誰なのかを理解した。
「お…お父さま…!?」
「久しぶりだね!!元気にしてたかい?」
「は…はい、お父さまもお元気そうで…」
お母さまとはメールのやりとりがあったけど、お父さまと交流するのは久しぶりだ。
東山家に遊びに行った以来。
…それにしても。
印象がぜんっぜん、まるっきり違う。
だってお父さまと言えば、白いテロンテロンのタンクトップに草刈り鎌。
クイズ番組の早押し連想ゲームで、「タンクトップ」「鎌」って出た瞬間に、ピンポーン!!「カボのお父さま!!」って即答するくらい、あたしの中に定着してたんですけど。
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