山田さん的非日常生活

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「いらっしゃいませー…」


無理やり押しつけられたにも関わらずこうして連日勤務することになるのは、


「ありがとうございましたー…」


やっぱりあたしの押しに弱い性格と、あたしの周りの人間に思いやりのカケラもないからだと思う。

結局店長にも泣きつかれ、昨日に引き続き今日もバイトに出ているあたし。

ただでさえ不服だってのに、さらに気分を下げるのが店長の暗さ。

一緒にレジに出ている店長は、昨晩梢さんに辞められてからというもの世界が終わったかのような負のオーラを背負っている。


「店長」

「………」

「…検品、今日どっちがしますか」

「…………………梢ちゃん…」

「店長がしますか、そうですか。じゃあそんなテカった暗い顔してないでさっさと奥に入って仕事してくださいもう!!」


落ち込みすぎて俯くどころかおじぎしてるみたいになってるから。

BGM流すとしたら絶対お経だから。

お客さん怖がって商品レジに持ってくるのためらってるから。


店長の曲がった背中を無理やり押しやると、店長はやっとトボトボと裏の扉へと歩き出した。

ふう、と息をついて時計を見ると、もうすぐ午後10時。

今日は動かない店長の代わりに人一倍忙しく動き回っていたから、時間が立つのが早かった。

何人かお客さんをさばくと、残っているのは立ち読みのおじさん一人だけ。


デザートの棚にはひとつ、かぼちゃプリンが寂しそうに置かれている。


「…………」


…結局昨日、梢さんから本当の話を聞いてからも、カボに連絡することはできなかった。


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