山田さん的非日常生活

おいしそうにケーキを頬張るカボを前に、ふとよぎる不安。

あっという間に食べ終えたカボは、幸せそうに顔をゆるめてあたしを見た。


「山田さん、渡したいものがあるんですけど」

「え?」

「クリスマスプレゼントです」


あたしの前に差し出された小さな箱。かわいいピンク色のリボンが箱のてっぺんにのっかっている。

いきなりスムーズに出現したプレゼントに続いて、あわててあたしもカバンからプレゼントを引っ張り出した。


「あたしも!…そんな、高いものじゃないけど…」

「いいんですか!?ありがとうございます山田さん!!…あけてもいいですか!?」

「い、いいけど…」


カボの喜びようにちょっと申し訳なくなる。あんなちゃっちいストラップなんかでよかったのかな。

嬉しそうにあたしが渡したプレゼントを紐解いていくカボ。

自分があげたプレゼントを目の前で開けられるのがこんなに緊張するもんだとは思わなかった。なんかこれ、一種の羞恥プレイじゃないか。

中から出てきたストラップを見て、カボが目を輝かせる。


「か…かぼちゃ!!」

「…たまたま見つけて、カボにぴったりかなって…」

「うわー、すっごい嬉しいです!!あの、えっと、誕生日と七夕と国民の日と緑の日とポッキーの日と…とりあえずいろんな記念日がいっぺんに来たくらい嬉しい!!」


…ポッキーの日ってカボの中ではそんな重要なポジションなんですか。


「さっそくつけます!どこがいいですかね?携帯か、車のカギか、あとは…耳にぶら下げるか!!」
「最後のはやめた方がいいと思うよ」


…どっかの民族みたいにならないでください。

親指と人差し指でストラップをつまんでキラキラした目で見つめるカボ。

ホッとすると同時にあたしまで嬉しくなってくる。

良かった。さんざん悩んだかいがあった。ケーキの方が時間的には苦戦したけど…ってそう!ケーキだ。

プレゼントついでにちょうど今渡しちゃえばいいんじゃないかな。


「あのねカボ、あとケー──」
「食後のコーヒーをお持ちしました」


あたしが声を発したのとちょうどのタイミングで、テーブルにコーヒーが運ばれてきた。

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