山田さん的非日常生活

煮込まれたスープに、芸術品のように飾られたメイン料理。

「おいしい」しか言えないあたしはコメンテーターにはなれそうもないけれど、それでもおいしいとしか言いようがない。

グラスを空にすると一杯だけワインを頼んだカボ。

お酒にはそこまで強くないらしく、ほんのりとカボの頬が赤く染まる。

一口だけ味見させてもらったけど、あたしにはまだまだ向いていない味だった。ワインを通した喉が、少し熱くなる。

幸せな気分に浸りながら最後のデザートを待って、あたしは一つの悩みにぶち当たった。


山田幸子17歳、一つの疑問。


…クリスマスプレゼントとケーキ、いつ渡せばいいもんなんだろ。


机の下に置いたケーキの箱。今日は車じゃないから、レストランを出たら歩いて帰るだろうし。できたらカボと一緒に食べれたらいいなって思うけど、レストランで持ち込みのケーキ食べるのはマナー違反な気がするし…。

あたしが悩んでいる間に、あたしたちの担当なのかお決まりのチョビヒゲのおじさまがデザートの皿を運んできてくれた。


「こちら、コース最後のデザートになります」

「わぁ!!美味しそう」

「………」


お皿に乗っていたのは、可愛く三段に積み上げられた星形のケーキ。

一段目はイチゴのムース、二段目は抹茶、三段目はガトーショコラ。

ほんとに可愛い。まるでツリーみたいな、クリスマスカラーだ。

…ケーキ、あたしにしては大成功なつもりだったけど。これに比べたら明らかにショボい。貧相すぎる。


星の端をちょっとフォークに乗せて口に運ぶ。美味しい、が三種類混ざって、これまた味も天下一品だ。


「美味しいですね、山田さん!!」

「うん…」


美味しいけどちょっと複雑だ。チョビヒゲめ、デザートまでこんな豪華なの用意しやがって。

逆恨みもいいとこだが、チョビヒゲを恨めしい目で見ながら息をついた。

…っていうかもしや、カボもあたしが「ケーキ作る」って言ったこと忘れてるんじゃないだろうか。

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