山田さん的非日常生活

何言ってんだろう、自分。あの小汚いウチに招待するなんて。

だってどう聞いたらいいかわかんない。

直接、「梢さんと会うの?」なんて聞けなくて。


ちょっとした間のあと。


申し訳なさそうに肩を落として、カボが言った。


「…すみません、明日はダメなんです」

「────」

「どうしても外せない用事があって」


「そ……、か」


断られたことに一瞬頭が真っ白になって、それ以上聞けなかった。

あたしから誘うことなんてめったに無かった。珍しくちょっと提案したときは、絶対一つ返事で賛成してくれた。

それに今まで、「無理しないでいいよ」って言ってもカボはあたしの予定に合わせてくれていたから。


…どうしても外せない用事って?


手にぶら下げた紙袋。中にケーキを入れたそれが、急に重たく感じた。

足立に手伝ってもらってなんとか完成した、かぼちゃプリンケーキ。本屋さんで立ち読みしたときに、カボにはこれしかないって思ったんだ。


カボのためだけに、初めて作るケーキだから。



"絶対認めないからね!!"



梢さんの言葉が頭の中をぐるぐる回って。毒みたいに細胞を侵してく。



"あたしが浩一郎さんと過ごすもの"



カボが隣で楽しそうに何かを話していたけどあたしはすっかり上の空で。

レストランに着くまで、なんにも頭に入ってこなかった。














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