山田さん的非日常生活

洋画のラブコメって迫力とかワクワク感は求められないけど、見終わったあとにほっこりする。

なんかあったかくって、いい。


「映画おもしろかったよね!カボの選んだヤツで当たりだった」


あたしは優柔不断で決められないから、カボに選んでもらったのだ。

前から観たかったの?と聞くと、カボは首を横に振った。


「先日オススメしてもらったんです」

「お母さま?」

「いえ…梢さんから」




















…なぜか頭の中でローマ字変換。いきなり飛び出たまさかの名前にハッと黙り込む。

とたんににじみ出てくる、忘れようと塗り込んだはずのセリフ。



"だって次の日は、あたしが浩一郎さんと過ごすもの"



余裕たっぷりの、梢さんのしたり顔。

思わずギュッと唇を噛みしめる。


…そんなわけない。ちゃんと、カボに聞いてみればいい。


それで、「違うよ」ってそう一言もらえれば。


「カ…カボっ!!」

「はい?」

「あの…あのね、」


カボの瞳があたしを覗き込む。

至近距離に耐えられずに俯くと、慣れないブーツのつま先があたしを見返した。


…カボ、違うよね?

明日。クリスマス、別の子と遊んだりなんてしないよね?


「あ…のさ!もし…明日も会いたいなぁ、なんて言ったらだめ、…かな」

「えっ」

「〜もし良かったらウチに来てくれてもいいし!!カボんちには招待してもらったし…ってあたしんち、カボんちの何十分の一くらいちっちゃいけど…」


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