山田さん的非日常生活

「……」

「……」

「………」

「………」

「…………」

「…………」

「あの…うん、山田さんのもすごくいいと思います!!ホラ、白を基調とした部屋にとても栄えるかと!!」

「…別にフォローしなくていいよ」


…しかも白を基調とした部屋って何だよ。


「よく言うじゃないですか、みんな違ってみんないい!!」

「……」

「ワンフォーオール!オールフォーワン!!」


…なんか全然関係ない意味になってきてるよ。

1人はみんなのために、みんなは1人のために、って部活のモットーとかに使うやつだよ。インテリアショップと何も関係ないよ。


左を向いたカボの人差し指と、右を向いたあたしの人差し指。

ため息と共に腕を下ろすと、そのままインテリアショップを後にする。


…別にこんなん、落ち込むことでもなんでもない。別に家具の趣味が違おうが、そんなこと。だって別に。

あたしとカボが結婚するわけじゃないんだし。

あたしが将来白を基調とした部屋に住もうがチューリップのアップリケを貼り付けようがカボには関係ないかもしれないんだから。



"僕と、結婚してください"



…ふと、さっき観たばかりの映画のセリフを思い出す。

映画は、意地っ張り同士の男女の話。主人公と相手役は思い合っているのに素直になれなくて、やっとくっついたと思ったらまたささいなすれ違い。ついに、主人公から別れを切り出してしまう。


後悔に苛まれる主人公。そのあとは色々あって、でも結局はハッピーエンド。

最後には相手役が抱えきれないくらいの花束を主人公にプレゼントして、結婚を申し込んだのだった。

それにしてもバラの花束でプロポーズ、とか。

映画だからまだあり得るけど、実際そんなことする人いないだろ。まぁ外国だからってのもあるかもしんないけど。


「…カボ、今日は映画中に飛び跳ねなかったね」

「はい!!今日は驚くシーンはなかったので!」


アクションものを観た時は爆音がするたび飛び上がっていたカボ。

フッと思い出し笑いしてしまう。


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